【マルヨシ通信No.98】
EU(欧州連合)は2年前の7月「2035年にはハイブリットを含むガソリン車の新車販売を禁止する」と言う方針を発表しました。EV(電動)化法案と言われるモノですが、今年の3月にドイツ、イタリアは同法案を支持しないと表明し紛糾しています。「何故紛糾しているのでしょうか?」EV化というのは二酸化炭素を排出しない電気自動車の新車販売だけを認めるというモノですが、反対意見の背景にはEV化によって既存のガソリンやディーゼル車の生産ラインが不要になり、大量の失業者が生まれると言う経済的理由があります。
但し、欧州の自動車業界団体も「EV化そのものに反対している訳ではなく、2035年までに完了という期限設定は性急過ぎる。非現実的だ」と言うコメントを出しております。ドイツではアウディ、BMW、ベンツなどがEV車を販売しておりますが、今年に入ってEV車の需要が計画数値を割って各社減産を強いられ、EV化の将来に暗雲が漂う状況になっております。
下段の各国新車販売台数に占めるEV 車の比率を示した表をご覧下さい。ノルウェーのEV比率が断トツに高く世界一位のEV国になっております。数値は一昨年のデータですが、同国の2023年の新車販売に占めるEV車率は80%になっております。ノルウェーは電源の95%は水力発電で賄われておりEV化を進める環境には非常に恵まれているEV先駆者ですが、そのノルウェーでさえEV化については次の様な問題で悩んでおります。EUの2035年EV化をさまたげる暗雲解消にはこの様な問題の解決が必須です。
(1)EV車のフル充電は一軒家の2~3日の消費電力に匹敵するとの事。EV車が急激に増えた事により、電力不足が問題になってきた。川が凍結した冬場は冷凍貯蔵した水素を使う事もあり、電気代は2倍に高騰する。テスラ車一回の充電で約1・5万円出費し電気代は一家族平均で13万円もかかる
寒冷地では急速充電前に30分バッテリーを温める必要がある。低温下では航続距離も短くなる。長時間渋滞したら最悪暖房を切るはめに
北海油田・ガスの輸出で得た収益を全国2万ヶ所のEV充電インフラ設置とEV車購入補助金に充当
(2)ノルウェーは人口550万人と少ない。一方、充電施設は登録車147台につき1箇所とオランダに次ぎ世界二番目の充足率を誇る。それでも余計に充電時間がかかる冬場や連休時期には充電渋滞が起こり、長距離のドライブにはストレスを感じる人が多い。
(3)環境対策でEV車を購入したが、リチウムイオン電池の寿命は5~6年で廃棄方法は未解決。同電池に使われる希少金属は中国、アフリカ、ロシアなど特定地域に偏在しており供給不安や価格変動リスクが常にある。
日本はどうでしょうか? 欧米の状況に鑑み、当時の菅元総理は日本の自動車は全てEVにすべきと述べました。それに対しトヨタの豊田章夫社長は「福島原発事故以降、日本では原発を抑制しており75%を火力発電に頼っている。電気を作る過程でCO2を排出してしまってはゼロエミッションの意義が薄れてしまう。ハイブリットを含むガソリンエンジンを性急に捨ててしまう事なく徐々にEV化を進めて行く事が肝要。水素なども含めた全方位戦略で対処すべき。同時に自動車産業5百万人の雇用を守る事も重要」と発言しています。今、考えると先見の明は豊田社長にあった様です。
ページ作成日 2023-09-17
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