【マルヨシ通信No.106】
米国、中国、欧州など全世界の自動車業界で電気自動車(=EV)の販売が鈍化しております。原因の1つとして寒冷地でのバッテリー性能の低下があります。寒冷地ではバッテリーの航続距離が急に下がり充電時間も長くなります。バッテリーの交換費用も高額な為、中古EV車市場も賑わっていません。現在の車載搭載型リチウムイオンバッテリーの寿命は5~8年と言われております。
上の写真をご覧下さい。一面に広がる通称「EV墓場」と言われている場所です。 中国最大の都市上海の南西180kmにある浙江省にあります。リチウムイオン電池にはニッケル、マンガン、コバルトなど人体に有害な希少金属が含まれています。これらを安全に取り出して処理する技術が確立されていないままにEV新車の販売が優先され、振り返ってみたらその中古が大量に行き場を失い墓場に積み上がっているという状況です。
環境に優しいはずのEV車がとんだお荷物になっているという本末転倒の笑えない現状があります。EV墓場は上記の浙江省の例だけでなく中国の他の地域にも発生しています。中国ではこの現状を墓場と読んで頭を抱えておりますが、視点を変えて日本なら「都市鉱山」と考え宝の山にする事が出来ます。
上記表をご覧下さい。日本は天然資源の埋蔵量はゼロですが都市鉱山の埋蔵量は大きく、世界一の再生技術を誇っています。
ここに朗報があります。東レ株式会社が使用済みリチウムイオン電池からリチウムを80%以上回収して再利用出来る技術を開発しました。実用化は2028年の3月と言われているので未だ4年先になりますが、EV墓場を失くすだけでなく、廃棄が難しいと言われている希少鉱物資源の再利用まで可能にする東レの新技術には大きな期待がかかります。
【技術説明】
(1) 東レが開発したのは高分子材料製で表面に微細な穴が開いた「ナノろ過膜=NF膜」
(2)使用済みリチウムイオン電池の材料を熱で処理してプラスチックなどを取り除いた後、酸に浸けて溶かす。その液体をNF膜に通すとニッケルやコバルトなどは膜に残り、リチウムや酸が膜の穴から排出される仕組み
(3)東レは長年河川水や地下水から農薬などを除去する膜や装置を作っており、今回はその経験を活かした。従来のNF膜は酸に弱い為に使えず、耐酸性を高める膜を作るのに苦労したとの事
(4)開発途上の段階だが9割以上のリチウム回収率で世界最高水準との事。実用化した段階では80%以上の回収が可能
尚、使用済みリチウムイオン電池から希少金属を効率的に回収する研究開発は東レの他、ホンダ、JX金属、三菱マテリア、住友金属鉱山、DOWAホールディング等が取り組んでいます。世界的に見ると10年後には10兆円規模の産業になると目され欧米の企業も多数取り組んでいます。
コンゴのコバルト採掘現場では有害物質の発生と児童労働が問題になっており、都市鉱山の再利用にかける期待は益々大きくなっている。
日産は住友商事と合弁でEV車リーフのバッテリー再生の新会社「フォーアールエナジー」を2010年に創設
ページ作成日 2024-08-25
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