世界中がインフレの嵐に見舞われ、ヨーロッパやアメリカの消費者物価指数は8%前後に高騰しております。日本も例外ではなく公共料金や食品生活雑貨を中心にモノ皆値上がるという状況になって参りました。その様な状況下で私達の暮らしの下支えをしてくれている100円ショップ業界のNo.1「大創産業」(ブランド名ダイソー、本社広島市以下大創)に焦点を当ててみました。大創は残念乍ら上場企業ではないので公表されている決算数字は売上高だけですが、毎年増収で市場占有率は60%を超えています。(下記グラフご参照)
100円で良くやって行けるなという単純な疑問を解く為に業界2位のセリアの決算書を分析しました。セリアは東京スタンダード市場に上場済みです。同社の先期の決算書を見る限り、営業利益率はここ数年8~10%です。セリアがフランチャイズ方式で展開しているのに対し、大創は直営店での販売方式を採っており、それ以外にも企業規模がセリアの倍以上あり開発から販売まで一貫して自社で賄っているので利益率はセリアより高いと思われます。円安や原材料・海外製造労賃上昇の逆風の中で、大創がどうやって対抗して行くのかその戦略を調べてみました。
(1) 100円だから衝動買いを誘発
100円ショップの単価は一点あたり100円なので一見すると粗利益率が低そうに見えますが、実は粗利益率は商品によって異なり、高い粗利益率の商品と低い粗利益率が入り混じっており、統合すると採算に見合った粗利益率を確保しています。100円ショップではその安さからついつい予定外の商品を購入してしまうという消費者が多く、高い粗利益率と低い粗利益率の商品を一緒に購入して貰う事で高めの粗利益を維持しています。
消費者からすれば「ワンコインだからためいなく買える」と考え、ダイソーからすると「衝動買いが最も起き易い価格が100円」というデータ分析をしており、買う方も売る方も共に100円に対してのこだわりは大きいです。然しながら、原材料費の値上がりや製造を担っている中国工場の人件費増などにより、品質を維持する為にはどうしても100円では無理と言う場合には200円とか300円とかに値札を付け替えた商品を多少混ぜております。
ダイソー世界最大店舗面積を誇るギガ船橋店2 千坪
(2) 品質に妥協しない
同社は次の様なスローガンを掲げています。①100円と思えない商品を販売し、お客様に感動を届ける事 ②店舗は主婦が500円で30分楽しめるレジャーランドだ ③「安かろう悪かろう」の商品は絶対売らない ④利益がたったの1円でも売る。1円でも百万個売れば利益になる。来店してくれれば、他の商品も買ってくれる。⑤店舗は明るく、清潔で、通路は広く
(3) 常に商品開発
ダイソーの商品アイテム数は約7万6千品目で毎月約800の新製品を自社で企画・開発して店頭に出しています。業界2位のセリアの商品数はダイソーの半分以下でダイソーの商品開発力は群を抜いています。現場の店員やSNSの書き込みから上がって来るお客様の声そして全店舗のPOS(販売時点情報管理システム)を分析し、どの商品が売れているとか、売れずに在庫になっているなどのデータを収集し、分析して商品開発に活かしています。
(4) 経費削減戦略
全世界6千店舗近い規模のアドバンテージを使った大量仕入れにより一点あたりの単価を安くしています。大創の場合は8割以上の商品は自社ブランドで生産しているので安く製造する事が出来、原価を抑える事が出来ます。 100円ショップは全ての価格が100円均一の為、値札を付ける必要がなく人手間を省けます。最近はセルフレジを多く導入し人手を減らしています。
ダイソーのセルフレジは操作が簡単と好評
(5)コストゼロの広告宣伝
見逃す事が出来ない点が広告宣伝に掛ける経費が非常に少ない事です。スーパーの様にチラシも撒いていません。大創が目を付けたのはインスタグラムの積極的な活用です。先ず、大創側から顧客にアプローチする為に、自社商品をおしゃれに魅せる写真を多く投稿します。
どの写真も専門誌に載っているようなクオリティの高さであり、気の利いたコメントも一緒に出しているので消費者は売場で迷う必要もなく時間の節約にもなります。商品数が7万6千品目もあると売場に陳列しても埋もれてしまう商品もあるので、ダイソーの開発意図や商品説明を自宅でじっくり読んで貰いたいと、季節感も満載にして丁寧に作り上げているのが印象的です。「こんなものが100円で買えるの?」という消費者の感動を誘発したいという思いがひしひしと伝わって来る楽しいインスタです。
(6) 物流
アマゾンの成功例で実証されたように、流通を制する事なく小売りを制する事は出来ません。現在ダイソーは全国25ヶ所に自社の物流センター(RDC)を配備し、首都圏では久喜(6万㎡)と習志野(3.3万㎡)に巨大なRDCを建設しました。完全自動化によって、欠品があればいち早く当該商品がパレットに載って降りて来て即日店舗に配送されます。
私たちがダイソー店舗の陳列棚が空いている状況にお目にかかったことがないのはこの様な物流システムが構築されているからです。自社の巨大物流倉は当然中国(77店舗⇄7RDC)米国(81店舗 ⇄8RDC)にも構築されています。大規模投資に慎重な姿勢を取って来た同社ですが、商品開発と物流インフラの整備には惜しみなく人とカネを投下しています。
ダイソー海外店との価格比較
100円で売っている日本が一番安いです
米国でも定額ディスカウント店は大人気。
写真はNYのFive Belowの商品は全て5ドル以下。 ライバルは多い
【会社概要】株式会社大創産業
1972年家庭用雑貨販売を目的として現在の矢野靖二社長の父親、矢野博丈氏が矢野商店を創設したのが始まり。1975年株式会社大創産業に名前を変え「100円ショップダイソー」のブランド名で全国に展開した。
創業時、地元広島では「100円で利益が出せる訳ない。直ぐ潰れてしまうだろうと物笑いの種にされた」とのこと。2021年2月末現在で国内3620店舗 海外25の国と地域に2272店舗を展開している。直営店舗比率8割、自社開発商品比率9割と言うのが競合他社と大きく違う。‘20年アルバイト応募人気No1企業に選出された(ツナグ働き方研究所主催)
ページ作成日 2023-01-17
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