【マルヨシ通信No.93】
前号に続き、今号もセミナー参加者様から受けた相談事項を記事に取り上げさせて頂きました。今回のご相談事項は「亡くなった父親から数年前に田畑合計5反(約5000㎡)の相続を受けたが、自分は一切農業に従事しておらず、今後も従事する意思はない。このままでは固定資産税はかかるし、休耕田は雑草が生えて荒地になってしまうので出来るだけ早く処分したい」という内容です。この様なご相談は農業従事者が年々少なっている現状から時々お受けします。先ず、問題を整理して次に対策を述べさせて頂きます。
上のグラフをご覧下さい。主要国の食料自給率を表したモノです。2019年のデータですが日本の自給率は38%と低い水準にあります。日本とほぼ同じ国土面積のドイツは84%も自給率があります。わざわざ他国との自給率比較までお示しした背景は40%を切っている自給率はとても安心できる数字ではないという事です。この切羽詰まった現状を改善して行く為に「農地法」が生まれ、同法の第一条には「農地は、国民の為の限られた資源であり、勝手に売ったり貸したりできない」という農地法制定の目的が明記されています。従い、親から相続により農地を受遺された相続人は農地以外の宅地や雑種地への地目変更や転用は簡単には出来ません。
次に整理する事として、当該農地が「市街化区域」内にあれば農地の宅地や雑種地への転用(=農転)は市町村役場の中に設置されている農業委員会への届け出だけで済み、2週間くらいで確認を得ることが出来ます。市街化区域の地図は各市のホームページで掲載している「用途地域マップ」でご覧頂けます。市街化区域と言うのは都市計画法に基づいて街創りの活性化を図る区域ですから、市街化区域内の農地の転用は問題ないと考えられます。
問題は市街化調整区域にある農地の転用です。調整区域内の農転は市町村役場に設置されている農業委員会の「許可」を得て実現します。農業委員会の役目は農業の振興を図り、農地を管理することですから簡単に農転の許可は下ろしません。相続で農地を所有したが、農業をやる気はさらさらないので早く処分したい場合は次の対策が考えられます。
(1)諦めずに引き受け手を探し続ける。特に当該農地の隣地の所有者に譲渡するのが定番ですが、地元民と交流を続け引き受け手を紹介して貰うのもお奨めです。買い手は誰でも良い訳ではなく5反以上の農地の所有者であることが条件になっているので買い手を探すのは至難のわざです。
(2)農業委員会の農転承認審査も第1種(原則転用禁止)第2種(条件により許可)第3種(原則許可)まで3段階あるので根気よく交渉して行く事です。
(3)農業に戻る見込みも全く立てられない耕作休耕地であれば同委員会が「非農地証明」を出してくれ、農転が可能になったケースも稀にあります。
いずれにせよ田畑山林は固定資産税だけでなく、害虫駆除や雑草の処理でお金がかかります。今は、田舎の親が農地を所有するも息子は都会で会社勤めというケースが多いです。農業継続の意思がない相続人が、相続するであろう農地の転用は農業者の親が存命中に対策を話し合っておいた方が良いと思います。
ページ作成日 2023-04-07
センチュリー21マルヨシでは単身やご家族で住める越谷エリアの賃貸物件を中心にご紹介しております。また地域に密着してから35年以上の歴史を誇る当社では、オーナー様から賃貸管理を任せて頂いている物件も豊富にございます。不動産のお取引が初めての方にも越谷エリアに精通したスタッフが丁寧にご対応させて頂きますのでどうぞお気軽にご相談ください。