【マルヨシ通信No.96】
令和5年度税制改正により生前贈与の持ち戻し期間が3年から7年に延長されました。その影響を改めて説明致します。贈与には受贈者一人につき年110万円までの基礎控除が認められています。
然し乍ら、亡くなる3年以内の控除分は相続財産に加算して相続税を払う形になっておりました。今回の改正で3年は7年に引き延ばされました。従来と比べると受贈者一人につき110万円x4年分 = 440万円を非課税で渡す事が出来なくなりました。この額は被相続人が亡くなった時の財産に加算して相続税の対象になります。
この対処策として注目を集めたのが「孫」への生前贈与です。理由は孫は一親等ではないので法定相続人にはならず、持ち戻しルールの対象外になるからです。
しかし、ちょっとお待ちください!孫への生前贈与は次の様なケースで相続財産を取得すると、孫も持ち戻しの対象になってしまいます。
・遺言等で財産の遺贈を受けた場合
(遺贈とは「遺言によって財産の割合を指定して特定の誰かに財産を引き継がせる事」民法964条
・代襲相続人として財産を相続した場合
・孫養子として財産を相続した場合
・死亡保険金を受け取った場合
急に脚光を浴びた孫の存在ですが、持ち戻しの対象外になる・ならないの他に、孫への贈与や生命保険については次のルールがあるので覚えておかれたら良いと思います。
【ルール①】相続税の2割加算ルール
一親等の血族や配偶者以外の相続人が相続により財産を取得すると、相続税が20%増額されます。孫は一親等の相続人ではないので相続税は2割増しとなります。少々ややこしいルールがございます。孫を養子縁組すれば、民法上、孫は一親等になりますが相続税の2割加算はあります。この辺は孫と同様に一親等でない兄弟姉妹、内縁の配偶者、息子の嫁なども2割加算の対象になります。一方、代襲相続人である孫は相続税の2割加算はありません。代襲相続人の孫が相続放棄をした場合、遺贈などで取得した財産は2割加算の計算になります。
(代襲相続とは亡くなられた方の子が先に死亡していて子の子である孫が相続するケースです)
【ルール②】孫は生保の非課税枠にあらず
孫は法定相続人ではありません。従い、法定相続人ではない孫が生命保険の受取人になっても生保の非課税枠はありません。然し乍ら孫が養子になれば民法上、孫は相続人になるので孫養子の分だけ非課税枠が増えます。但し被相続人に実子がいる場合は何人孫養子をとっても非課税枠は一人分の5百万円、実子がいない場合では二人分の1千万円の非課税枠しか認められません。
【ルール③】相続時精算課税の受贈者は18歳以上の子・孫に限る。
同精算課税制度を使って孫に生前贈与しようとする場合、18歳以上という年齢制限がありますのでご留意下さい。贈与税の税率も受贈者が18歳以上と18歳未満では税率が異なります。(例:贈与額が400万円超600万円以下の区分で受贈者が18歳以上なら贈与税率20% 18歳未満なら30%)
【まとめ】税負担を少なくして孫に財産を移す方法としては持ち戻しの対象外とする事と相続税の2割加算を避ける事です。税務上、生保の受取人を孫にするメリットはなさそうです。
ページ作成日 2023-07-15
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