【マルヨシ通信No.100】
驚きの安さで何でも揃うディスカウントストア「ドン・キホーテ」。グループとしての売上高は今年6月期決算で1兆9367億円で前年比5.8%増、営業利益は1052億円(同18.7%増)で好調です。激動の小売業界で創業以来34年間増収増益を重ねて来る事が出来た理由と創業者安田隆夫氏について調べてみました。
ドン・キホーテは1989年9月に開業していますが、その10年前に創業者の安田隆夫会長は手持ちの全財産800万円をつぎ込み西荻窪の18坪の狭小店舗で「泥棒市場」という小売店を出店しています。そこで売っていた商品は金融処分品、バッタ品、廃番商品、サンプル品等「安いが、使い物にならない様な商品も多かった」という店でした。名前からして怪しげな店ではありますが泥棒品を売っていた訳ではありません。いつ潰れてもおかしくない様な店でしたが、数年後には年商2億円の繁盛店に大化けし、安田会長の商売センスが光り始めた時期でした。全て現金仕入れなので早く確実に売らなければ店が潰れるという緊迫感の下、気迫が充満していたそうです。この時に培った消費者の動向分析や商品仕入れの交渉力など全てがドン・キホーテを起業する際の血肉になったそうです。(同氏著書「情熱商人」より)
出典:経済産業省出典 ’
小売業界の現状
ここで小売業界全体の状況を俯瞰する為に業界の中で中心的な存在である「百貨店」「コンビニ」「通信販売」について簡単に説明します。上記のグラフをご覧下さい。全国の百貨店の売上は年々減少し昨年は5.5兆円です。コロナ前はインバウド需要で活況を取り戻す場面もありましたが、大票田の中国人旅行客は少なくなりました。デパ地下の食品売り場を除くと存在意義が問われています。
コンビニについては上記グラフの様に大手3社の店舗数は2017年以降横ばいです。一日の平均販売高も徐々に下がっており大きな伸びは期待できそうにありません
出典:22/8 月電子取引にかかる市場調査(経産省)
「通信販売(物販)」は年々伸びています。2014年に6.8兆円だった市場規模(売上)が8年後の2021年には約2倍の13.2兆円まで拡大しました。数年以内に20兆円超えを達成する勢いです。
ドンキの躍進
この様な状況の中で旗艦店ドン・キホーテを擁するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(=PPIH)は前述の様に創業以来34期に亘り増収増益を続けています。特に2020年からは東南アジアやアメリカの店が次々にオープンした事もあり飛躍的に伸びています。財務状態はどうでしょうか? 下の表をご覧下さい。営業利益率や自己資本利益率は、はるかに他社を凌駕しており健全な財務状態である事が覗われます。
【PPIH】 (パンパシフィック・インターナショナル・ホールディング)
-1980年9月4日創業 ’00年東証一部上場
-店舗数724店(日本 617店, 米国65店, シンガポール15店)
-正社員数2,343人 全世界連結17,107人
(数字はいずれも23/6/30時点)
【安田隆夫会長】 1949年岐阜県生まれ 1973年慶応義塾大学法学部卒業 2015年世界展開を考えシンガポールに転居
上げ潮の通販業界と違い店舗で物を売るドンキはお客様を自店舗に引き込まなければなりません。ドンキの取った戦略は次の通りです。
(1)小売業界で効率的に儲ける王道は「小品種・大量販売」です。コンビニ業界王者のセブンイレブンでさえ効率化と利益追求の為に商品種を絞る様になりました。一方のドンキは真逆の経営方針を取っています。「多品種・少量販売」です。少量販売を目指していると言う訳ではなく少量しか売れなくても良いから多品種の店を出せという意味です。同社の6ヶ条ある企業理念の第2条に「いつの時代もワクワク・ドキドキする買い場を構築する」と言うのがあります。「お客様に時間と労力と交通費を使ってわざわざ店舗に来て頂く為には、ワクワク・ドキドキがなければならない。これが通販との差別化だ」というのが安田会長の考えです。
(2)同企業理念第4条に「変化対応と相続的破壊を是とし、安定志向と予定調和を排する」と言う文言があります。一例ですが、シンガポールのスーパーの野菜売り場で中国産のキャベツは302円していました。一方、日系デパートの食品売り場では日本産キャベツは1035円で売られていました。この間隙を縫う様にドンキは日本産キャベツを465円で販売したところ飛ぶように売れたそうです。何故、地元の日系百貨店の食品売り場で売られていたキャベツの半値以下で売る事が出来たのでしょうか? 理由はドンキは船便を使い、日系百貨店は賞味期限を考慮して航空便を使ったからです。ドンキは1ヶ月の船旅でも鮮度を保つ事が出来る高性能の冷蔵コンテナを輸送業者と開発しました。加えてキャベツの生産地の農家と交渉して大量に購入する事を条件に低価格で仕入れる事が出来ました。
(3)他にも工夫は沢山あります。自社開発商品を4千品種作りました。ポップライターが千人もいて朝から晩までポップを書き続けます。それも全店舗が同じ色彩や文字デザインで仕上げ、統一感を出します。激辛商品だけを販売する「激辛ドンキ」を開店し、 読みが外れて過剰在庫になった商品を売る「しくじり市」を設ける等ワクワクして貰える仕掛けを考え、実行しています。
次々にポップを書いて行く
しくじり市で客を呼ぶ
ページ作成日 2023-11-14
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